こんにちは、ニャン吉です。
深海サメ、ラブカについて教えてくれる?
深海の謎の古代サメ「ラブカ」、恐竜が生きていた時代から生息していると考えられており、未だに多くの謎を秘めています。
ラブカは相模湾、駿河湾でもよく発見される深海サメであり、日本では水族館に標本の展示があります。
この記事ではラブカの生態から生息地、餌やラブカが古代サメと言われる理由まで解説していきます。
ラブカが観れる水族館6選!標本や生きたラブカの展示記録がある場所は?
深海サメ ラブカとは?
分類階級 | 日本語名 | 英語名(カナ表記) |
---|---|---|
界 | 動物界 | Animalia (アニマリア) |
門 | 脊索動物門 | Chordata (コーダタ) |
綱 | 軟骨魚綱 | Chondrichthyes (コンドリクティーズ) |
目 | カグラザメ目 | Hexanchiformes (ヘキサンキフォームズ) |
科 | ラブカ科 | Chlamydoselachidae (クラミドセラキダエ) |
属 | ラブカ属 | Chlamydoselachus (クラミドセラクス) |
種 | ラブカ | C. anguineus (シー・アングイネウス) |
学名 | Chlamydoselachus anguineus (クラミドセラクス・アングイネウス) |
和名はラブカ、学名はChlamydoselachus anguineus (クラミドセラクス・アングイネウス)。
ラブカの和名の由来は、その特異な外見に関係しています。
このサメの最も目立つ特徴は、首回りにある6つの鰓裂(さいれつ)が連なって襟状(えりじょう)になっており、レースの襟(ラッフル)やフリルを連想させるため、「ラブカ」と呼ばれるようになりました。
日本語の「ラブ」は「レース」や「フリル」を意味する英語 “ruff” または “ruffle” から派生したと考えられています。
日本でも独自の方言で、オカグラ、ハブザメ、トカゲウオ、マムシ、カイマンリョウと呼ばれることもあります。
深海サメ ラブカの生息地
分布図
海外の生息地
ラブカは、大西洋と太平洋全域に分布しています。
地域 | 生息域 |
---|---|
北大西洋 | ノルウェー北方、スコットランド北方、アイルランド西方 |
ヨーロッパ | フランスからモロッコ沿岸 |
アフリカ | モーリタニア |
中央大西洋 | アゾレス諸島 |
南アメリカ | ブラジル南方 |
北太平洋 | 本州南東、台湾、ハワイ、カリフォルニア |
南太平洋 | ニューサウスウェールズ、タスマニア、ニュージーランド |
南アメリカ | チリ北部 |
日本の生息地
- 相模湾: 日本の本州の太平洋側に位置する相模湾は、ラブカの生息地としてよく知られています。この海域では、比較的多くの個体が確認されています。
- 駿河湾: 静岡県に位置する駿河湾も、ラブカの生息地として有名です。ここでは、深海の環境がラブカに適しているため、しばしば見つかります。
相模湾は水深1000mを超える海底谷があり、駿河湾は水深2.500mで日本で最も深い湾です。その他の比較的浅い海域には生息していないと考えられています。
どの位の深さにいる?
ラブカは一般的に水深120mから1,280mの範囲でよく発見され、最大で水深1,570mまでの深さに生息することが確認されています。
日本の駿河湾などでは、比較的浅い水深50mから200mの範囲で観察されることが多く、水温が高くなると、ラブカはより深い水域へと移動する傾向にあるとされています。
日本の釣り人に釣り上げられることも稀にあり、ボートで沖に出れば釣り上げることも出来るでしょう。
深海サメ ラブカの大きさ
最大全長はオスで1m65cm、メスで1m96cmセンチメートルに達することがあります。
しかし報告があるサイズのため、もっと大きな個体も存在していると考えられるでしょう。
体型は細長い円筒型で、頭部は幅広くて平たく、短く丸い吻を持っており、非常に大きな口が特徴で歯は合計で約300本、小さく細い三尖頭で、尖っています。
体色は暗褐色や灰色です。
サメ×ウツボ×ウナギのような特徴を併せ持っています。
ラブカは何を食べている?
ラブカは、その柔軟な大きな口を使って、自分の体長の半分以上の大きさの獲物も飲み込むことができます。ただし、他のサメと比べて強く噛む力はそれほど強くないようです。
捕まえた獲物は、比較的小さなサメやいろいろな魚、イカなどの頭足類が含まれ、1.6mのラブカが約590gのヘラザメを丸呑みにしたとの報告もあるようです。
ラブカは、泳ぐのが遅いですが、速く泳ぐイカも捕食します。
しかしどのようにしてこれを捕まえるのかは完全には解明されていません。
幾つかの仮説としては。
- 傷ついたり弱っているイカを狙っている可能性
- 獲物に素早く食らいつく。
- 鰓裂(さいれつ)を閉じることで、周囲の水を吸い込み獲物する。
- 歯が疑似餌のように機能している
ラブカは深海魚の為飼育が難しく、水族館に来たとしても数日後には死んでしまうため、捕食映像などは今現在も残されていません。
あまり速く泳げないとされていますので、1か4の可能性が高いでしょう。
ラブカの歯は他のサメと違う
- 多くの小さな歯: ラブカの口には300本以上の小さな歯が並んでいます。これらの歯は非常に細かく、他の多くのサメ種に見られる大きな歯とは異なります。
- 鋭い三尖頭の形状: 各歯は三尖頭(さんせんとう)の形をしており、歯の先端が三つの尖ったポイントを持っていることを意味します。これにより、小さな獲物を効果的に捕らえることができます。
- 内側に向いた歯: ラブカの歯は内側に向いており、これは獲物を捕らえた際に逃がさないようにするための進化的な特徴です。この形状は獲物を口の中に保持しやすくします。
- 柔軟な顎の運動: ラブカの顎は非常に柔軟で、大きく開くことができます。これにより、比較的大きな獲物も捕食することが可能です。
絶滅した古代のサメであるクラドセラケ(Cladoselache)も、多数の小さな歯を持っていたとされています。
しかしこれらのサメは数億年前に生きていたもので、現代のサメの中にはラブカの歯に非常に似た特徴を持つ種はいません。
ラブカは食べられるの?
稀に釣り上げられることがあり、日本人の方でも何人か食べたことがあるようですが、中々美味のようです。
しかしラブカは深海に生息するサメの一種で、通常は商業漁業の対象にはなりません。
そのため、ラブカが市場に出回ることは少なく、ラブカの肉質や風味に関する詳細な情報はあまり一般には知られておらず、食べられる魚と言うより、学術的に貴重な魚です。
レッドリストにはLeast Concern (LC) – 「低懸念」(低危険種)とされています。
万が一釣り上げてしまった場合、生体であれば水族館に連絡しましょう。
ラブカは恐竜時代から生息していた
ラブカは、その原始的な特徴から「生きている化石」とも呼ばれ、非常に古い時代から存在している古代サメです。
現代のラブカは、少なくともジュラ紀後期(約1億5000万年前)に起源を持つと推定されており、この時期は恐竜が地球上で支配していた時代に相当します。
さらにラブカは白亜紀後期(約9500万年前)にも存在していたことが化石記録から明らかになっています。
同年代の古代のサメとして。
サメの種類 | 学名 | 概要 | 生息時代 |
---|---|---|---|
ヒボドゥス | Hybodus | ジュラ紀から白亜紀にかけて生息。耐久性のある歯を持ち、多様な食性に適応。 | ジュラ紀〜白亜紀 |
クリトキサス | Cretoxyrhina | 白亜紀に生息した大型の肉食性サメ。別名「ギンスー・シャーク」。鋭い歯を持つ。 | 白亜紀 |
スクアラコラクス | Squalicorax | 白亜紀に広く分布。別名「カラスサメ」。中型で多様な獲物を捕食。 | 白亜紀 |
いずれすべて種は現代では絶滅しています。
ラブカのような種が長期間にわたって生存してきたことは、生物進化の観点から見ても非常に興味深く、研究の対象となっています。
深海魚ラブカまとめ
深海の謎の古代サメ「ラブカ」解明できていない生態も多く、人々の興味を引いてやみません。
生きたラブカの展示をしている水族館は現在ありませんが、標本や剝製は水族館に展示されています。ラブカが気になった方は水族館に赴いて実物を観察してみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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